本の虫

著者:江添亮
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村上原野(ボレロ村上)の思い出

村上原野(ボレロ村上)の思い出を色褪せないうちに書いておこうと思う。

村上原野の父親であり師匠であった猪風来は縄文土器による芸術家である。縄文土器の制作方法を復元した人物だ。

猪風来プロフィール | 美術館の紹介 | 猪風来美術館

縄文土器は窯を使わずに野焼きで焼き上げる。野焼きで窯ほど燃焼温度が上がらないので、低温でも焼き上がるような粘土を使わなければならない。その製法は再発見され、村上原野が縄文土器作成を学ぶ頃には、一通り完成していた。製法を復元した上で、その製法を使って芸術品を作るというのだ。

聞いた話では、猪風来は極めて形から入る芸術肌の人間で、縄文人の心を理解するために、北海道に竪穴式住居をこしらえて家族で住んでいた。つまり、村上原野の父親と母親と本人は中学生か高校生ぐらいまで北海道の竪穴式住居に住んでいたのだ。

竪穴式住居とは歴史の教科書にも出てくる様式の原始的な家だ。地面を掘り下げ、その上に屋根を設営する家だ。竪穴式住居は全国にあるのだが、北海道のような寒い地方では、寒さ対策のために地面をかなり深く掘り下げる。猪風来がかつて展示会で語っていた話では、竪穴式住居の中で座ると、ちょうど目の高さが地面すれすれになるほどだという。そうして猪風来は縄文人の心を会得した。

その後、村上原野の一家は岡山の廃校に引っ越す。廃校を作品制作の作業場と作品の保管所と美術館として利用している。

村上原野はそのような特殊な家庭環境にもかかわらず、当初は高専を卒業し、確か本人の話では製図技師か何かで数年、民間で働いていたそうだ。ただし本人曰く「やはり土をいじっている方が楽しい」ということで仕事をやめ、家業をつぐことにしたのだという。

村上原野のいでたちは、かなりガッシリとした体格で、よく日焼けしていて、母親の作った作務衣を着ている。どこから見ても偉丈夫であり、刺しても死なないほどの健康な見た目であった。

このブログの読者が知る村上原野は、ボレロ村上、もしくは中3女子という名前で知っている人物で、C++プログラマーだ。

https://github.com/bolero-MURAKAMI/Sprout

Sproutは村上原野によるC++ライブラリであり、C++におけるコンパイル時計算用のフレームワークを提供している。

このSproutを使った村上原野の作品としては、コンパイル時レイトレーシングがある。

constexpr レイトレーシング - ボレロ村上 - ENiyGmaA Code

当時の純粋なテンプレートメタプログラミングのみのレイトレーシングや、あるいはC++11時代のまだ本体はreturn文ひとつしか書けなかった頃のconstexpr関数を使ったレイトレーシングがある。

あるいは、コンパイル時音声生成がある。

constexpr で音階生成&シンセサイザー&音声合成 - ボレロ村上 - ENiyGmaA Code

生前の村上原野に、C++によるこの作品は芸術なのかと聞いてみたことがあるが、彼にとってこれらは芸術ではないらしい。