赤倉温泉スキー場に来ている
2月に白馬に2週間滞在してスノーボードと温泉三昧だった。白馬に2週間も滞在することになったのには長い話があるのだがまたの機会に書くとして、結果として、長期滞在して温泉に浸かりスノーボードをしてリモートワークをする価値に目覚めてしまった。3月も同じことをしたいと思ったので、人を誘って再び一週間の長期滞在をしてきた。
滞在先は赤倉温泉だ。詳しくは知らないが、この暖冬にもかかわらず全国のスキー場の積雪ランキング上位にあるスキー場だ。予約時に300cmの積雪があったので、これならば雪はあるだろうと宿を予約した。赤倉ホテルという宿だ。さぞ予約は取りづらいだろうと思っていたが、あっさりと予約を取ることができた。
宿はなかなかよかった。食事は悪くなく、宿の建物内に温泉が3箇所あり、しかも2箇所は24時間入り放題。そしてもう一つ露天風呂があり、これがやや特殊な完全な外に設置されている露天風呂で、涼しくて湯温も高く最高だった。この露天風呂、変わったことに混浴でかつ周りから丸見えなのだが、そもそもホテルにはほとんど客がいないので気兼ねする必要はなかった。ただし、例年では雪が高くつもり、完全に周囲から隠れてしまうそうで、本来は女性客も入りやすいそうだ。
肝心のスキー場だが、宿の目の前に赤倉温泉スキー場がある。当初、このスキー場にのみ行くだろうと思って、あらかじめリフト券を4日分手配しておいた。しかし、これは間違いだった。赤倉温泉の近くには赤倉温泉スキー場、赤倉観光リゾートスキー場、杉ノ原スキー場、池ノ平スキー場、関温泉スキー場がある。特に赤倉温泉と赤倉観光は隣り合ってつながったスキー場で、赤倉温泉スキー場は広くて簡単でつまらないコースばかりだが、赤倉観光リゾートスキー場の方は難しくて面白いコースが多かった。
まず移動日は滑らず、初日は赤倉温泉スキー場で足慣らし、白馬で2週間、1日滑って2日休むという筋肉を鍛えるのに理想的な頻度で滑っていたので、体には余裕があった。2日目に赤倉観光リゾートスキー場に行ったが、これまた前日の疲れがまったく気にならないほどの余裕があった。3日目は流石に連続しては辛いだろうと赤倉温泉スキー場でのんびりと滑ったが、これまた余裕があった。4日目は再びリゾートに行った。5日目は念の為に休みを入れた。膝は多少痛むが、危険な痛みではない。
これを書いている時点では土曜日だが、明日の日曜日に1日滑り、月曜日は余力があれば午前中に滑って帰ってこようと思っている。こんなにも膝と脚に余裕ができているほど体が鍛えられているとは自分でも驚いている。しかも、スノーボードの腕も上達している。白馬でスイッチができるようになったが、さらに滑走が安定した。
白馬での目的はスイッチだったが、今回の目的はGoProを持っている友人と一緒に言ったので、追い撮りと自撮りの上達を目標にした。そのために自撮り棒を購入した。結果は大成功だった。もっと難しいものだと思っていたのだが、自撮り棒を持っての滑走はほとんど滑走に影響を与えない。簡単であることがわかったので、GoProの来年のモデルが販売されたら購入を検討しようと思う。
今回使ったGoProはHERO 7だが、使う上での注意点がいくつかあった。まずGoProはバッテリーが持たない。リフト営業開始から終了までの丸一日の全滑走を撮影したいというのであれば、4K解像度や120FPS撮影は諦めた上で、予備のバッテリーを2つ以上持っていくのがよいだろう。逆に、事前に危惧していたSDカードの容量は全く問題がないことがわかった。今は512GBや1TBのSSDカードが数万円で売られている。動画のビットレートが90Mbpsであったとして、512GBあれば12時間は撮影できる計算になる。そしてGoProのバッテリーは1時間持たない。
GoProを撮影した後の注意点もある。GoProはSDカードのフォーマットにexFATを使っている。exFATのfuseではないマウントにはLinux kernel 5.4が必要だ。Ubuntu 19.10は5.3、Ubuntu 20.04が5.4になる予定となっている。
GoProが使う動画フォーマットはh.265(HEVC)の10bitプロファイルを使用している。この動画のリアルタイムデコードはとても重い。筆者はここ10年ぐらいCPUのパフォーマンスは十分すぎるぐらい向上したので、いまだにSkyLake世代のIntel CPUを積んだラップトップを今回の旅行に持参した。ところが、H.265 10bitのデコードのハードウェア支援はSkyLakeの次の世代のKirbyLakeが必要だ。KirbyLakeもそうだが、AMDやNvidiaのGPUのハードウェアデコード支援も、h.265 10bitに対応したのは2016年に販売された製品からだ。今回の撮影は2.7k 60fpsで行ったが、筆者のPCではリアルタイムデコードできなかった。前のフレームからの差分で表現するIフレームや、前後のフレームからの差分で表現するBフレームを多用するh.265の再生は、リアルタイムデコードが出来ない場合破綻する。そのために当初は単に映像を確認するためだけにffmpegでh.264にエンコードしていたが、いろいろと試した結果、ブラウザーを実行しない状態でmpvを使うとややフレームレートに違和感はあるものの、再生できることがわかった。
2.7k 60fpsでこの負荷なので、4K 60fpsはもっと負荷が高いのだろう。GoProで撮影した動画を編集するには最新の高スペックなコンピューターを容易すべきだ。最も筆者はffmpegのフィルターでできる以上の編集をするつもりはないのであまり気にしていない。今のところ考えている編集は動画の切り出しと連結、あとは別音声のmuxぐらいだ。今回撮影した自撮りと追い撮りはすぐにでも動画サイトにアップロードしたいのだが、現在滞在している宿のWiFiの帯域は20Mbps程度で2割程度のパケットロスが発生するという基本的人権がないほど貧弱な環境なので、自宅に帰ってからアップロードする予定だ。
追い撮りと自撮りについてだが、まず自撮りについては特に難しいことはなかった。単に自撮り棒をもって滑るだけだ。スノーボードは両手が自由なので様々な持ち方ができる。360度カメラではない自撮り棒に固定したカメラの場合、後ろ手で持って山側から谷側への撮影、前の手で持って谷側から自分を含む山側を撮影、前の手で持って谷側を撮影という方法が考えられる。全て試してみたが、どれも特性の違う動画ができあがる。
追い撮りは難しい。単に追いかけて被写体をフレーム内に納めるだけならそれほど難しくはないのだが、問題は距離だ。GoProは画角が広い。これは被写体をフレーム内に維持するという点ではいいのだが、実際の距離以上に被写体との距離感が出てしまう。被写体を大きく移すには近づく必要があるのだが、これも難しい。被写体は自分ではないので滑走の速度があわない。直滑走すると追い越してしまうし、丁度いい速度を保つのが難しい。撮影中、離されたので直滑走して追いつき、そして抜きそうになったので減速してまた離されることがたびたびあった。これは自分のショートターンの腕前を上げるほか、被写体と無線で連絡を取り、離されすぎた場合減速してもらうなどの連携が必要だろう。
もう一つ難しいのが、実際に見たとおりに撮影できないということだ。雪面は日光の反射で白飛びしてしまい、起伏が目立たなくなってしまう。かなり深いコブ斜面でもまるで圧雪されているかのようになだらかに見えてしまう。そして、傾斜も実際より浅く見える。これはカメラ自体が傾斜にそっているために仕方がないことではある。カメラを水平にすると撮影できるのはほとんど空だけだ。速度感も乏しい。カメラを高い位置で保持すると全く速度感がない。それなりの傾斜のある斜面を直滑走しても、雪面が白飛びすることと画角の広さのせいで、全然速度が出ているように見えない。速度感を出したければカメラを低い位置に置かなければならない。
また、今回は追われ撮りもためしてみた。これはカメラを後方に向けて滑り、被写体に追いかけてもらうことで、被写体を全面から撮影しようという試みだ。これはある程度はうまくいったが、なかなか難しい。減速やターンをするたびにカメラを左右に降ってしまうので、被写体はフレームに入るためにかなり努力して滑らなけれならない。直滑走すると被写体と撮影者の道具と技量と体重差によって速度差が出てしまうので破綻する。今回、私はスノーボードで友人はスキーだったが、私は毎回ホットワックスをしているが友人はスプレーワックスで済ませるズボラな人間であるのと、私が友人より20kg重いために、直滑走すると友人よりかなり相対速度が開いてしまう。それに、被写体一人だけで同じ姿勢を維持して直滑走し続ける動画はそれほど映像映えしないという問題もある。複数人でのレースのような面白さを追加する要素が必要だ。
手ブレ補正も一長一短がある。GoProの手ブレ補正はなかなかに優秀ではあるのだが、手ブレ補正をかけると滑走のダイナミックな動きが消えてしまう短所もある。
友人はスキーヤーなので、スキーでの自撮りや追い撮りを模索していたが、自撮りについては圧倒的にスノーボードのほうが楽だ。追い撮りもスキーでは細かい調整が聞かずに難しい。ヘッドマウントではカメラ位置が固定されてしまい、自撮り棒を動かすというダイナミックな撮影ができない。スキーで自撮り棒をもつと滑走が難しくなる。スノーボードでは手を固定して滑ることもできるが、スキーは手を動かしてバランスを取りたい特性があるようだ。
今回、自分の滑りを追い撮りしてもらう機会にも恵まれたが、やはり滑走中にバランスを取るために上半身をリーンする癖が抜けない。下半身の屈伸だけで十分にバランスをとれるところでは積極的に下半身を意識して使っていきたいところだ。