スノーボード7回目
前回の2泊3日の白馬八方尾根スキー場において現状の課題を確認したので、体の回復を待って再びガーラ湯沢に日帰りレッスンを受けに行った。特に問題なのはヒザの痛みだ。幸い、安静にしていれば3日間ほどで回復する。ただし今回は1日滑った後に1日おいて3日間すべったので、念の為に6日間休むことにした。越後湯沢の天気予報を見ると日曜日は雨のようだが、徐々に天気予報の雨が月火にずれていったので、日曜日で旅行会社に手配させた。行きの指定席は取れたが、帰りは指定席が満席で自由席しか取れなかった。
さて当日、雨は降っていない曇りであった。悪くない天気だ。ただし30分ほど寝坊したために、指定席を乗り過ごし自由席で移動することになった。幸い、自由席はがら空きだった。
前回確認した課題とは、ヒールエッジのターンが安定しないということだ。転ぶ時は必ずヒールエッジ側のターンで転んでいる。ターンの祭に雪面が荒れていると耐えきれない。そして、ヒールエッジ側のターンに細かい調整が効かないという問題もある。ヒールエッジでターンしようとすると90度近く回ってしまう。もっと浅く回ろうとすると安定しない。果たして今回のレッスンでこの課題は解決できるのだろうか。
今回、初めてバインディングを自分で調整してみた。今まで買った店が設定したスタンス角である前18度後3度で滑っていたのだが、これを一段階上げ、前21度後ろ6度にした。スタンス幅は肩幅や足の長さを測ってみたが、このままでよさそうなので変更しなかった。
30分出遅れたものの、ガーラ湯沢についてからレッスンが始まるまでまだ30分以上の時間がある。レッスン前に中級者コースであるジジを一滑りした。とても滑りやすく感じる。2泊3日の訓練で鍛えられたのだろうか、あるいはスタンス角の調整がよかったのだろうか。
午前のレッスンでまず一本、インストラクターが腕前を見るための緩斜面を滑ったが、これまたとても快適だった。明らかに上達を感じる。
午前の中級者レッスンではロテーションに特化して学んだ。スノーボードでターンに必要な要素は3つ。角付け、荷重と抜重、ロテーションだ。このうちどれかひとつに集中するだけでもターンはできる。特に緩斜面では難しいことを考えなくてもターンはできる。しかし傾斜が急になってきたり、雪面が荒れていたりすると、この3つの要素を組み合わせてしっかりと動かなければターンは安定しない。レッスンでは確かにターンが安定したように感じるが、問題はレッスンは緩斜面で行われている。果たして斜面が急になっても効果を実感できるだろうか。午後のレッスンでは荷重と抜重をするという。荷重と抜重については、前回のレッスンで実質プライベートレッスン状態になり、かなりしっかりと学んだ。おさらいをするのも悪くはないと思うがもう立ち上がりによる荷重と抜重はかなりできるようになっているのではないだろうか。そう思ってレッスン最後のインストラクターが仕上げ具合をみる一本で、ロテーションと荷重抜重を組み合わせたターンをしてみた。するとだいぶ短いターンになっている。しかも安定している。インストラクターが言うには、もうショートターンをできる頃合いではないかという。午後のレッスンで中級者レッスンが一人しかいないのであれば、ショートターンの練習をしようという話であった。
午前と午後のレッスンの合間に、ロテーションを試してみようとまだ滑ったことがない中級者コース、グラノーブルに向かった。グラノーブルはそれなりに急な傾斜が長く続くコースだ。リフトでコースを横目に見ながら、その傾斜が延々と続く様子をみて、勇み足過ぎたかと後悔したが、いざ滑ってみると、あっさりと滑ることができた。なんと、私に足りないのはロテーションだったのだ。どうやら私は今までヒールエッジでターンをするときにむしろカウンターロテーションをかけていたようだ。これはヒールエッジのターン時にロテーションを使わないがために脚で無理やり板を回し、その力任せに回した角度が深すぎるために、浅く調整しようとカウンターロテーションをかけていたのだ。ただでさえ回りすぎるのにロテーションをかけてどうするのだと思っていたが、そもそも炉テーションをしていなかったがために力任せに回しすぎていただけで、ロテーションをすれば適切に回すことができる。
グラノーブルを滑り終えた私は午後のレッスンに向かった。中級者レッスンが一人しかいなければショートターンの練習ということだが、残念ながら午後から中級者レッスンにもう一人来てしまった。ところが、どうも中級者にしては様子がおかしい。まずブーツが正しくはけていない。本当に中級者だろうか。ガーラ湯沢のスノーボードスクールの中級者というのは連続ターンができるレベルだ。レッスン開始前の緩斜面を一本滑るテストでは、とてもぎこちないものの、かろうじて連続ターンを行っていた。おそらく緩斜面のみでしか通用しない動きだ。結果として、中級者レッスンを受けるのは私一人になったので、予定通りショートターンの練習をすることになった。
ショートターンの練習は中級者コースのジョアンナで行う。ジョアンナはレッスン専用のコースで、ゲレンデのコース一覧でそのようなコースがあることは知っていたが、一度も行ったことがなかった。私はインストラクターについて中級者コースのブロードウェイを危なげなく滑り、ジョアンナに向かった。ジョアンナはロングターンがかろうじてできるぐらいの幅の、やや傾斜のある直線一本のコースだった。私が到着すると、すでにスキーレッスンの受講者が滑っていた。
滑る前にインストラクターがショートターンの滑り方を説明する。ショートターンのやり方は基本的にはロングターンと何ら変わることがない。角付け、荷重と抜重、ロテーションだ。ただし、ショートターンはターンの感覚が短いので、一定のリズムに乗ってすばやく小刻みにターンしなければならない。そして、ロテーションと荷重抜重のタイミングを合わせなければならない。ロングターンはゆっくりと曲がるので、ロテーションと荷重抜重のタイミングはそれほどシビアに一致しなくてもよい。ただしショートターンではタイミングを合わせなければロテーションと荷重抜重を組み合わせたターンにはならない。
この説明を受け、インストラクターはまず私がショートターンだと思うものを一本滑ってみろと言った。そこでなるべくターン半径を短くターンとターンのを間を短くして滑ってみた。しかしロテーションと荷重抜重のタイミングは合わない。
訓練は荷重抜重をおさらいするところから始まった。斜面に対して水平になり、大げさな屈伸をしながらサイドスリップをする訓練。大げさな荷重抜重とトーションだけを使ってアイソレートターンをする訓練。そしてロテーションを大げさに加えて荷重抜重とトーションでアイソレートターンをする訓練をした。インストラクターは私の動きが特に大げさである場合に褒めた。そうして動きに慣れたところで、アイソレートターンをつなげていく訓練ををした。このような一連の大げさな動きによる訓練の成果で、レッスンの終わりには私はショートターンらしいものができるようになった。後は反復練習するだけだ。
レッスンが終わった私は、さっそくガーラ湯沢のスノーボードにとって難関の初心者コースであるエーデルワイスに向かった。エーデルワイスは林間コースだ。幅が狭く曲がりくねっておりロングターンをする余裕がない。しかも傾斜は緩すぎるためサイドスリップすると止まってしまう。
さっそくロテーションと荷重抜重を意識したショートターンをしてみたところ、なんとあれほど狭いと思っていた幅の半分ぐらいを使うだけでしっかりとターンができるではないか。しかも確実に速度をコントロールできるので恐怖がない。速度を落としたければターンを深くし、速度を出したければターンを浅くする。ロテーションのためにターン角度の調整が思いのままだ。
エーデルワイスを楽々とショートターンで滑り降りた私は、次にグルノーブルに挑戦した。これもまたショートターンで滑り降りてくることができた。
ロテーションを習得しショートターンができるようになった私は、最後にガーラ湯沢の下山コースに挑戦することにした。
ガーラ湯沢の下山コースはスノーボードにとってとてもつらいコースだ。幅は狭く、曲がりくねっており、ところどころ斜面が急になる。しかも山の上からふもとまで下るので、雪質はどんどん悪くなるのだ。そして全長2.5kmもある。とても耐久力のいるコースだ。
しかし、今日の私はいつもほど疲れていない。いつもならもう滑れないと考えるほど痛くなるヒザも、今日はマイルドな疲労程度ですんでいる。これはどうもロテーションを習得してさらにロテーションと荷重跋重を組み合わせることにより、より効率的な滑り方をしているためらしい。これならば下山コースも行けるのではないか。
下山コースへのリフトは4時に止まってしまう。残念ながら時間切れだ。しかし、トンネルを足で歩いていけば下山コースの入り口に行けるという。トンネルの中には長い長い階段があった。やれやれ、スノーボードのソフトブーツでよかった。これがスキー用のブーツならばつらいところであった。
うんざりするほど長い階段を上がると、下山コースの入り口だった。長い階段を足で上がってきたので数分間入り口で休憩してから滑り出した。ロテーション、荷重と跋重、そしてショートターン。滑れる。体への負担も少ない。延々と滑っていくと、残りの距離を示す看板が見えてきた。「残り1.5km」なんと、まだ半分も滑っていないのか。しかしまだ滑ることができる。足への負担は許容範囲内だ。ロテーション、荷重と跋重、そしてショートターン。
やがてふもとのガーラ湯沢駅が見えてきた。やった。下山コースを降りきったのだ。途中、木の葉に頼らざるを得ない場所は一切なかった。ショートターンを習得したのだ。
次の目標はカービングターンとコブだ。そのためにはまたレッスンを受けなければならないが、ショートターンの反復練習をするために、次はたまたま手に入った湯沢中里のチケット引換券を使って、インストラクターなしでまだ滑ったことのないスキー場をショートターンで滑ってこようと思う。
一日が終わってスノーボードを点検してみると、トップシートがエッジの上から長さ数センチ内側に3mmほどのえぐれた箇所がある。白いグラスファイバーと思われる素材が露出している。これはあまりよろしくなさそうだ。リペアキャンドルを買ってきて自分で修理しようか。このついでにアイロンを買ってもいいかもしれない。もっとも、私のボードのソールはエクストルードなので、そんなにワックスは浸透しないのだろうが。