本の虫

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fair use権利を侵害するYouTubeのContent IDと戦うために著作権侵害するゲーム批評家の話

Game Critic Uses Brilliant Workaround For YouTube's Copyright Bullshit

Jim SterlingはYouTubeに動画を投稿するゲーム批評家である。動画によるゲーム批評を行うためには、ゲームの動画を引用する必要がある。しかし、ゲームの動画をYouTubeで引用すると困った問題に巻き込まれる。Content IDだ。

YouTubeではContent IDという仕組みが設けられている。これは、ある動画が著作権者の事前に登録した動画にマッチする場合、その動画に対して著作権者が著作権を主張し、取り下げたり、あるいは広告を出して収入を著作権者に回したりする仕組みだ。

しかし、批評のための引用は各国の法律で「著作権の例外」にあたり、著作権が及ばないと定められている。例えば日本では著作権法の第32条、アメリカ合衆国ではfair use、イギリスではfair dealingにより、著作権の例外であり著作権が及ばないと法的に定められている。ゲームの批評のために必要な範囲の引用には著作権が及ばない。著作権が及ばない以上、当然屈辱的なContent IDマッチによる取り下げや広告収入の横取りは、本来ならば著作権を不当に主張している人間による著作権侵害である。

しかし、Googleは人間が問題に対処しないことで悪名高い企業であり、不当なContent IDマッチの取り下げ要求にはまともに人間が対応しないためにどうしようもない。

さて、Jim Sterlingは収入をPatreon経由で得ており、YouTubeの広告には依存していない。そのため、YouTubeには広告を表示しない設定にしているのだが、ひとたびContent IDにマッチしてしまうと否応なく広告が有効にされてしまうという問題を抱えている。

そんなJim Sterlingが、最近自衛のために行っている行動は、Content IDの仕組みを逆手にとったものだ。上の動画では、任天堂の最近のゲームには新規性がなく過去の成功体験を引きずって使いまわしているだけだという旨の批評を行っている。しかし、動画にはなぜか、何の脈絡もなくMetal Gear Solid V, Grand Theft Auto V, Beyond: Two Soulsといったゲーム動画が使われている。これはなぜか。

Jim Sterlingは過去の自分の動画の中でContent IDにマッチした、既知のContent IDマッチ動画を意図的に使うことによって、動画に複数の大企業のContent IDマッチした著作権主張者を作り出している。複数の著作権主張者が同じ動画に著作権主張をした結果、どの著作権者の主張も認められず、結果として動画には収益横取り広告がつかなくなる。

しかし、その利用方法は正統な批評のための引用ではなく、結果的の著作権侵害ではある。32条、fair use, fair dealingといった著作権の例外の権利を保証させるために、あえて著作権侵害を起こす必要があるとは皮肉なものだ。しかしJim Sterlingによれば、結果的にこれが効果的な方法なのだという。

著作権は誤った考えであり私の生きているうちに世界的に破棄されるだろう。