仮想通貨と税金についての国税庁の見解についての所感
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/171127/01.pdf
国税庁が仮想通貨と税金について見解を出しているが、これの一部が私の直感とだいぶ異なる。
1から9までの例について、具体的な暗号通貨であるBitcoin, Ethereum, Bitcoin Cashと日本円を出して考える。その価値は特に実態とは関係がない。
1. 暗号通貨Bitcoinを1万円分買って、後に暗号通貨Bitcoinを2万円で売った。所得=収入-支出=2万円-1万円=1万円となり、1万円の所得が発生する。
わかる。
2. 暗号通貨Bitcoinを1万円分買って、後に暗号通貨Bitcoin全額を支払って2万円の商品を買った。2万円分の収入が発生した扱いになり、所得=収入-支出=2万円-1万円=1万円となり、1万円の所得が発生する。
わかる。
3. 暗号通貨Bitcoinを1万円分買って、後に暗号通貨Bitcoin全額を支払って暗号通貨Etheriumを2万円分買った。2万円の収入が発生した扱いになり、所得=収入-支出=2万円-1万円=1万円となり、1万円の所得が発生する。
理解に苦しむ。暗号通貨から暗号通貨のやり取りには日本円が一切関与していない。
有名画家から絵をもらったとして、その有名画家の絵は市場で1万円の取引実態があるので、1万円の所得が発生したというようなものだ。まだ現金が一切関与していないのに絵を入手しただけで所得になるのはおかしい。
4. これを真面目に計算するのはだるいので具体例を出すのが面倒だが、まあ理解できる
5. 暗号通貨Bitcoinを1万円分買った。後に暗号通貨Bitcoinがforkして、暗号通貨Bitcoin Cashができた。その結果、BitcoinとBitcoin Cashを両方持つことになった。所有するBitcoinの価値は1万円と変わらず、Bitcoin Cashの価値は1千円となった。この場合、1千円の収入が発生した扱いになり、支出は0円で、1千円の所得が発生する。
うーむ・・・結果的に利益が発生したわけではあるが、やはり現金が一切関与していないのに所得となるのはおかしい。
世界に2枚しかない有名画家の絵の1枚を所有しているとして、もう1枚が焼けてなくなったので、自分の持っている絵の価値が1万円分上がった。したがって1万円の所得が発生したというようなものだ。まだ現金が一切関与していないのに所得になるのはおかしい。
6. Bitcoinが雑所得以外に分類される場合について。
わかる。
7. Bitcoinが雑所得とみなされる場合の損失は雑所得のなかだけで通算。
わかる。
8. 暗号通貨にはFXのような投機としての特別措置はない。
実態はもはやFXに近い気がするが、本来の意図した状況ではない気がする。
9. 2万円分の暗号通貨Bitcoinをマイニングするためにコンピューターと電気代で1万円をかけた。収入が2万円、支出が1万円。所得=収入-支出=1万円の所得が発生する。
やはり具体的な現金との関与が一切ないのに所得扱いになるのは解せない。
Bitcoinは実態としては絵に近い。例えば私が有名画家で、私の書いた絵には必ず1万円を支払って購入したい人が列をなして並んでいるとして、私が直ちに売らない絵を描いた場合、私は絵を生み出したのでその場で売らなかったとしても1万円の所得が発生することになるというのと同じ奇妙さがある。