最も日本人を多く殺す職について考察した結果、反医療主義という結論に至った
概要:この記事は最も多くの日本人を殺す職業について考察したうえで、最終的に意外だが確実に多くの日本人を殺している職業を特定したので書いた。結論を書くと反医療主義なのだが、考察の過程をたどっていこう。
今週の土日は何も予定がなく、かつ面白い本もPCゲームも見当たらないため、非常に暇である。そこで、最近執筆が滞っているブログのリハビリを兼ねて、何の意味もない文章を書いてみようと思う。お題はこれだ。
間接的に多くの日本人を殺せる職につきたい
絶望的に人望がないので政治家や起業家は難しい
スキルはITエンジニアの経験のみ
このクソみたいな人生の鬱憤を晴らすためだけに間接的に日本人を大量にぶち殺したい
どうすればいいのだろうか
なるほど、まず考察する内容を整理しよう。
- この匿名ダイアリーの筆者を仮に増田とする
- 増田は人を殺せる職につきたい
- 人とは日本人である
- 政治家と起業家以外の職である
- 殺す人数は多くしたい
まず、「殺す」の意味を考えてみる。お題の文章を解釈すると、増田が自ら刃物や銃といった武器を使って人を殺す必要はない。間接的な殺人でよいのだという。すると増田は他人に殺人を命令する立場でもよいし、増田の意思決定の結果人が死ぬという状況でもよい。
死刑執行人はそれほど人を殺していない。日本で年間に行われる死刑執行の数は極めて少ない。大抵の年は0かひと桁であり、まれにふた桁の執行数があってニュースになるぐらいだ。
人を殺す機会のある職業と言われて警察、自衛隊、海上保安官を思い浮かべる読者もいるかもしれないが、これらの職業はあまり人を殺していない。自衛隊は国内の治安維持に出動した実績はまだなく、せいぜい訓練中に自衛隊員同士で殺しあったとか、事故の結果人を殺したことはあるとしても、あまりにも殺人数が少なすぎる。警察とて、治安維持に出動して暴徒と殴りあったり、犯人と交戦するような警官はほんのわずかであり、大多数の警官は窓口で非暴力的な一般市民と応対したりデスクワークをしたりしている。あとは「間接的」という言葉をどこまで拡大解釈するかの話でしかない。殺人をした警官を管理する立場にあるものは間接的に殺人をしたといえるだろうか。日本人を殺した警官の給与計算に関わっていた会計部署の警官も間接的に人を殺したと言えるのだろうか。すると、警察庁長官は警官による殺人の全件に関与したといえるのだろうか。この論法が行き着く先は内閣総理大臣が最も多くの殺人をしているということだ。いや、国家の象徴であり内閣に承認を与える天皇は内閣総理大臣を含む国内のすべての殺人を間接的に行っていると考えることはできるだろうか。しかし、現状では天皇は国民の総意と内閣の決定に従わなければならず自分の意志を表明することができない。それに、増田はおそらく天皇の職を得ることはできない。
間接的という言葉はいくらでも拡大解釈できる。
例えば、ラーメンは栄養のバランスが悪く、脂肪と塩分が過剰であり、健康に悪い。健康を損ねると人は死ぬ。すると、ラーメンの店主は殺人に貢献したことになるのだろうか。問題が塩にあるとすれば、塩の製造や販売を行う職業は殺人に関わっているのだろうか。
間接的をここまで拡大解釈していいとすると、結局日本人が最も摂取しているビールの販売元はどこか、タバコ農家は誰かということになってしまう。本来麻薬であり違法となるべき健康を害するたばこを製造、販売しているJTは極めて多数の日本人の殺害に貢献している。するとJTの多数の労働者を管理する人事部に職を得るべきだろうか。
しかし一般に、空腹の人間にラーメンをおごったり、アルコール分解能力がありビールを飲みたがっている人間に一杯のビールをおごったり、健康を損ないたがっている喫煙バカにタバコを一本差し出したりすることは殺人とみなされていない。
間接的な殺人を考えると、健康保険の範囲内の治療を定める職は、その意思決定によって大勢の日本人の生死を左右するだろう。政治家も間接的な影響力が大きい。しかし、これらの職は増田がつきにくい職業である。それに、これらの職業はできるだけ殺人を減らす目的があるので、判断を誤って殺人数が増えたとしても、全体的には殺人を減らす方向に貢献してしまう。
避妊具は妊娠を防ぐことによって本来生まれるべきであった人間を生まれさせないため、殺人とみなせるのではないか。すると増田は日本で最も売れている避妊具製造メーカーに勤務すべきである。しかしそのような間接的な可能性の殺人を考えるのであれば、避妊具が存在しないことによる間接的な殺人数も考えなければならない。
もし避妊具が存在しなければ、多くの望まれない子が生まれ、貧困で劣悪な環境で育てられることになる。避妊具の存在によって、そのような子供が成長して、人を殺す可能性が消されるので、避妊具は殺人件数の減少に貢献している。避妊具による未来に存在したはずの可能性の殺人を考えるのであれば、未来に存在したはずの殺人減少を差し引かなければならない。
事実、アメリカでは中絶が合法化されてからしばらくして、殺人件数が大幅に下がっている。
多くの職は、日本人の死亡に貢献している以上に、日本人の死亡を防ぐことにも貢献してしまっているのだ。
例えば、餅は毎年100人ほどの日本人を救急搬送しているが、餅を食べることは飢え死にを防ぐので日本人を生かしている。それに、窒息死の原因は餅ではなくおかゆのほうが多い。というのも、窒息死する日本人の多くは咀嚼力の著しく低下した人間であり、咀嚼力の低下した人間は日常的にお粥を食べているからだ。
そういう意味で、車も日本人を殺していない。交通事故では年間4000人ぐらいの日本人が死んでいるが、もし車がない場合、日本の物流は止まり、現在の人口を支えることができず、より多くの日本人が死ぬ。したがって、車の製造や販売の職業についた場合、殺した日本人の数より助けた日本人の数が大幅に上回ってしまう。
では非合法な職はどうか。この際、収入さえ発生していれば職業と認めてもいいだろう。例えば暴力団はどうか。残念ながら暴力団はあまり人を殺していない。というのも、日本における暴力団構成員が殺人、殺人未遂の容疑で検挙された件数は一年間にせいぜい200から300件程度なのだ。容疑者ですら3桁しかない。もちろん、検挙されていない殺人もあるだろうが、この程度の数では話にならない。コンビニ店員として酒と煙草と避妊具を売っていたほうがまだいくらか日本人の殺人に貢献できる。
とはいえ、日本全体の一年の統計上の殺人件数が1000件程度であることを考えると、暴力団による殺人は割合が高い。警察が認知する殺人件数に間接的に関わることを目的とするのであれば、やはり暴力団には所属しているべきだろう。しかし、警察に逮捕されて、勾留、懲役、禁錮の扱いを受けてしまうと、その最中はさすがに殺人に間接的にでもあれ関与したとはみなせないだろう。
警察に逮捕されずに暴力団との関係を続けて間接的に殺人に関与するには、増田は暴力団に脅されてやむを得ず金品をゆすり取られ続けるとか、暴力団の関与する高利貸しから金を借りて利子を支払うなどすればいいのではないか。こうすれば、増田は被害者であるので警察に逮捕されることはない。増田の提供した金銭は暴力団の利益となり、間接的に殺人にも使われる。しかし、これは職業ではない。しかもこのような状況は極めてクソであり人生の鬱憤を晴らすどころかますます鬱憤をためるだけだろう。
ここまで、具体的な統計を出さずに筆者の頭の中だけで考えていた。そのようなデータに基づかない考察を離れて、具体的な死因を見ていこう。
厚生労働省:死因順位(第5位まで)別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合
日本では、1年間に120万人ほどの日本人が死んでいる。死因の上位に来る理由を生じさせる原因となる職業につけば、最も効率よく日本人が殺せるだろう。
まず、0歳から4歳までの死因の第一位は、「先天奇形、変形、及び染色体異常」である。第二位以降もほとんどが病気によるものだ。
その後、10代の頃は病気が多い。
20代から30台になると自殺が死因のトップになる。
その後の死因のトップは癌だ。
なるほど、このことから、日本人の死亡に最も貢献できる職業が判明した。
反医療主義者である。
書籍や新聞やテレビやインターネットといった大衆に届く情報媒体を使い、反医療主義を煽って金を儲ける職業につけばよい。
乳幼児の死亡率を上昇させるためにワクチン摂取に反対する。がん死亡率を高めるために科学に基づかない、臨床試験で効果も認められていない代替医療を推奨する。
ホメオパシー、カイロプラクティック、菜食主義、反ワクチン、宗教、占い、何らかの植物やキノコを摂取すると癌が治るとの主張、タバコ、アルコール、これらの反医療主義を煽る本を書いて、テレビに出てさも効果があるかのように吹聴する職業。このような職業は実際に存在している上に、うまくやれば稼ぎもよい。
しかも、現代日本では、これらの行為を行うほとんどの職業は犯罪者とみなされていない。最悪の場合で薬事法違反程度の軽い罪だ。というのも、癌の治療を拒否するのは拒否した本人の責任であるし、抗癌剤の重い副作用について解説するのは違法ではないからだ。あとは薬事法に触れないように気をつければよいだけだ。増田は日本人さえ多く殺すことができれば、逮捕されたり懲役を受けることにはむとんちゃくかもしれないが、懲役を受けるとそれだけ反医療主義を煽ることができなくなる。
考察を始めた当初は、とてもくだらない記事になることを危惧したが、どうやらなかなか啓蒙的な結論に達することができた。この記事の教訓としては、反医療主義は危険だということだ。