Librebootの開発者Leah Rowe、自由ソフトウェア財団がトランスジェンダーを理由に人を解雇したと糾弾、自由ソフトウェア財団は否定、ポップコーンを用意されたし
Corebootからバイナリブロブなファームウェアを取り除いたdownstream forkであるLibrebootの開発者であるLeah Roweが、LibrebootはGNU傘下から撤退すると宣言した。
[Libreboot] libreboot is not GNU Libreboot anymore
その理由として、自由ソフトウェア財団がトランスジェンダーであることを理由として人を解雇したためとしている。また、メールの文末はFSFとGNUに対するFuckで終わっている。
また、LibrebootをGNU傘下から外すことによるLeah Roweのgitコミットメッセージは、"fuck GNU"である。
fuck GNU · b204a20ba7 - NotABug.org: Free code hosting
RMSの返信で、解雇は性別に関係するものではないと書いている。
Re: [Libreboot] [gnu-prog-discuss] libreboot is not GNU Libreboot anymor
自由ソフトウェア財団の公式な声明では、そのような事実はないとしている。
Leah Roweは、LibrebootのWebサイトにおいて、以下のように声明を出している。
Libreboot opposes the Free Software Foundation and the GNU project
読んだところ、この文章は極めて感情的であり、しかも何らの証拠をも提示していない。しかし、自分でたれ込んだPhoronixやRedditへの白熱した議論へのリンクは張っている。また、解雇された人物の特定は、個人攻撃を防ぐため避けるとしながら、自由ソフトウェア財団側の責任者の名は挙げている。これまでにLeah RoweがFSFに寄付した金を返せとも書いてある。
なお、この文章は、gitのコミットログを見る限り、おそらくLeah Roweによって書かれたと思われる。しかし、文章は三人称で書かれていて、Librebootプロジェクト全体を「我々」と呼称し、Leah Roweも一人称ではなく名前で参照している。
statement regarding libreboot and GNU · 9050375b30 - NotABug.org: Free code hosting
Librebootの他の開発者の一人は、この状況に対して憂慮している。
Librebootプロジェクトの主要な貢献者の一人として、私はMinifreeから2種類のチップセットのサポートの仕事を請け負っている。
現在の騒乱について、Librebootに貢献することで利益を得ることを継続したい身ではあるが、現在のLibrebootプロジェクトとlibrebootコミュニティの事実についていくつか書いておく必要がある。
- 最近気がついたことだが、Leah RoweはWebサイトlibreboot.orgにgitコミット権を持つ唯一の人物にして、、Librebootのコードベースに対するコミットアクセス権を持つ唯一の人物である。現在、これは問題になっている。
- コードベースは、corebootレポジトリのブロブ除去版であり、librebootの貢献者のパッチを含み(ただし、コミットしているのはLeahだ)、それから利用を楽にするためのインストールスクリプトが多少ある。
- 我々(貢献者)は、Leahが見切り公開したlibreboot.orgのWebsiteに掲載されている意見について事前に何も聞かされていない。
したがって、Webサイト上にかかれている、「我々が信ずるに・・・」、とか、「我々が主張せんとすることは・・・」について、Leahは現在、librebootプロジェクトを完全に支配下においている。明らかに、この人物は支配下においているプロジェクトを不適切に利用して、プロジェクトには直接関係のない個人的な意見を、「librebootコミュニティ」に存在する人間全体の意思として見せかけ・・・つまりは、その人物はLeah Roweだ。
私はLeahの幼稚な行動に呆れている。何人もの我々(librebootを保守するほどの時間のない者達)、つまり実際のlibrebootコミュニティは私の意見に同意するだろう。すなわち、Leahはlibrebootプロジェクトを主導するにあたって以下のような極めて不適切な振る舞いをしているということを。
- プロジェクトの主導的な立場と個人的な意見を混同させていること
- librebootの名において、「我々」と呼称することにより、個人的な意見を、コミュニティ全体の総意であるかのように詐称していること
- 自分の意見に同意しないものに対して、幼稚にもIRCチャンネルを検閲していること
- プロジェクトのWebサイトに無関係の個人的な意見を掲載したこと
-- Damien Zammit(CC BY-ND)
この騒動はSJWやHugh Mungusに相当するという意見が見られる。
SJW(Social Justice Warrior)は、過度のポリティカル・コレクトネス、差別是正主義者による、些細な言動の揚げ足取り行動を言う。Hugh MungusはBlack Lives Matter運動家のZarna Joshiが警察署の建設に反対する抗議で、たまたま警察署を通りがかった公聴会で証言するために来た白人の男にインタビューを試み、関心のないインタビューに苛ついた男に、「俺の名はHugh Mungus(ドデカイ)だ」と返されたことを、「ドデカイとは何だ。これはセクハラか。ドデカイとは男性器の暗喩か」などと揚げ足取りで詰め寄った炎上騒動のことをいう。
そもそも、特定の団体に属する一部の人間が差別主義者であったとして、その団体全体が差別主義であると主張するのは、LGBTの一部の人間の問題を取り上げてLGBT全体が問題であるとするLGBTフォビアと何ら変わりない行動である。
そういうわけで、筆者はポップコーンの用意にとりかかる次第である。