中古PCを買った
「PCが遅い」と嫁が言う。「10万ぐらいのちゃんとしたPCがほしい」と嫁が言う。
そんな馬鹿な。今時10万円もあれば新品のゲーミングラップトップが買える。観測する限り、嫁はPCでWebブラウザーしか使っていないではないか。閲覧しているWebサイトも、TwitterやFacebookぐらいなものだ。
嫁のPCのスペックを確認するために、Windowsのコントロールパネルを開こうと試みるが、たしかに動作が遅い。型番を調べてググったほうが早そうなほどの時間分またされた挙句、ようやくCPUやメモリ量を確認できた。どうやらAllendale世代のCeleronを積んでいるようだ。
確かに動作が遅いが、不自由でプロプライエタリなソフトウェアであるMicrosoft Windowsについて調べる気にはならない。GNU/Linuxをインストールすればこれよりはマシになるだろう。しかし、聞けばこのPCは卒論を書くのにも使ったという。嫁は全て消しても構わないというが、いろいろとストレージには過去の歴史が残っているであろうから、おそらく消すべきではないのだろう。別のストレージを買ってきて取り替えてからGNU/Linuxをインストールするという手もあるが、スペックも低く、すでに外傷が激しいこの8年ぐらい前のPCをそこまでして温存するべき理由はない。
嫁はコンピューターをよく壊す人間である。スマフォやタブレットは半年も立たないうちに壊してしまうので、最近はガラケーを使っているという。ガラケーのあの形状は、比較的落下時の衝撃に強いのではないかと思う。
以上のことから考えると、数万ぐらいの中古PCを買って、GNU/Linuxをインストールして使わせるのが良いように思う。利用目的には十分な性能と、壊しても惜しくない入手価格であればいいのだ。
そこで、秋葉原にいっていろいろと見て回った結果、AcerのICONIA W700というタブレットを中古で買うことにした。選択した理由は、解像度が1920x1080であるのと、CPUがx86-64で使い勝手がよく、しかもAtomではなくSandy Bridge世代のCore i3-2365Mであることだ。値段は税込みで3万8千円だった。安い理由は、ディスプレイに気泡が入っていることだ。しかし、ディスプレイの隅なので、それほど気にならない場所だ。
タブレットを扱うの初めてだったが、Ubuntuのインストールは何事もなく完了した。
ICONIA W7のBIOSメニューの入り方は本体のWinボタンを押したまま電源ボタンを押し、ベンダーロゴが画面に現れたら両方とも離すという方法であった。ブート順序とSecure bootを無効(私はMicrosoftを信用していないため、Microsoftが署名したバイナリを信用すべき理由がない)にした後、USBストレージに入れたUbuntuをブートしてインストールする。どうやら、Ubuntuのインストーラーはキーボードとマウスを接続していない環境でもインストールが進められるように、スクリーンキーボードが出せるようになっているようだ。今回はキーボードとマウスを使ったので使わなかった。
インストール後に多少の設定をしたのち、使い心地を確かめてみた。UbuntuのUnityは有名なタッチパネルのジェスチャーに対応しているようだ。また、Chromiumはタッチパネルのジェスチャーに対応していたが、Firefoxはまだ対応していなかった。
Ubuntu 16.04には、タブレットの向きに合わせてディスプレイを自動で回転させる機能はなかった。xrandrを使ってディスプレイの回転を切り替える簡単なシェルスクリプトを書いてLauncherにでも設定しておけばとりあえずはいいが、できれば自動で回転して欲しいところだ。GNU/Linuxにはジャイロセンサーの入力を受け取る共通の方法がまだないのだろうか。
さて、今回、初めてタブレットをまともに触ったが、やはり最新のデバイスに触っていないと時代から取り残されると思い、自分用にもタブレットを入手した。Endevor TN10Eだ。これはCPUにAMD A4-1200(Temash)を積んでいて、やや遅い。しかし、ディスプレイの解像度は1920x1080なので、テキストを読むぐらいには使えるだろう。たまたま、同僚がWindowsの再インストールに失敗したものを持っていたので、4500円で買い取った。
Endevor TN10EのBIOSメニューに入るには、音量調整ボタンの+-を同時押ししながら電源ボタンを押す。また、USBキーボードを接続している場合には、F2キーを連打するでも入れる。必要な設定をしたあと、これまたUbuntuをインストールした。
インストール後に使ってみた感想としては、やはりAMD A4-1200は遅い。とはいえ、テキストを読むぐらいには使えそうだ。タブレットの経験に使い潰してみようと思う。
さて、もうひとつ中古PCを買った。dynabook T95だ。
15.6インチの3840×2160ディスプレイ、Haswell世代のCore i7 4710HQ、Radeon R9 M265X、メモリはDDR3が8GB(16GBに増設可能)、ストレージには1TBのハイブリットHDDがついて、8万5千円ほどだった。
やすい理由は、ディスプレイの真ん中よりやや左に縦一直線におそらく1ピクセル幅の常時白点灯ラインがあることだ。とても気になるが、それ以外のスペックは8万5千円で手に入るならば魅力的だ。
さて、Ubuntuをインストールして設定を終え、いろいろと使ってみたが、結論としては、ディスプレイのライン抜けを考慮しても、やはり4Kディスプレイはいいという結論に至った。
結局、我々晴眼者は、コンピューターからの入力方法に眼球を使っている。したがって、効率化のためには眼球にできるだけ多くのピクセルを叩き込むべきである。高PPIは正義だ。高PPIは未来だ。我々は高PPIだ。
また、AMDのGPUはGNU/Linuxで使うのに都合がいい。Ubuntu 16.04では、AMDの不自由でプロプライエタリなバイナリブロブのドライバーは一掃された。もはやUbuntuのレポジトリにはAMDのバイナリブロブなドライバーは存在しない。AMDのGPU用の自由なドライバー実装は十分な品質に達している。
最近、あまりPCのスペックにこだわりがなくなってしまった。いや、実際には逆で、こだわりがありすぎるために、新しくPCを購入する際には、現時点で最高のスペックのPCを入手しなければ気がすまない。30万円だして現時点で最高のスペックのPCを買ったとしても、一年後には陳腐化するし、常に破損、故障の可能性はある。ならば、最初から安い中古PCを使えばいいのではないか。中古なのでスペックには諦めが尽くし、壊れても安ければ気にならない。