本の虫

著者:江添亮
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妖怪ハウスでくさやをたべた

妖怪ハウスの同居人の一人が、休日に八丈島に釣りに行ってきた。釣りの成果は、はかばかしくなかったそうだが、おみやげとして、くさやを買ってきてくれた。くさやというものは、極めて臭いものであるという話だ。おみやげのくさやのパッケージは、真空パックされて、減塩、減臭と書かれている。開けると臭う懸念があり、よい機会もないので、数日放置していたのだ。

さて、今日の夜、酒を文化的に飲める人が妖怪ハウスにやってきたので、場の雰囲気で、我々は酒の肴にくさやを食べてみる決意をした。真空パックを開けたが、想定していたような臭さはなかった。しかしそれまで乗り気であった住人と客人が、何らかの理由ですみやかにリビングから消えていった。リビングに残ったのは、筆者を含めたオッサンが三人だけである。

我々は、さっそくくさやの賞味にかかった。くさやは、実に美味であった。酒によくあう。いや、これはうまい。実にうまい。世の中にこんなにうまいものが存在していたのか。

我々オッサン三人は即座にくさやをたいらげてしまった。こんなにうまいものをいい歳をしたオッサンばかりでたいらげてしまうとは、大人げないことだ。

念の為に歯を磨いた筆者は、他の住人と客人が避難した部屋を訪れた。筆者が取材した話によれば、くさやの真空パックを開けた瞬間、極めて強烈で不快な悪臭がリビングに充満したため、緊急避難したのであるという。筆者達がくさやをたいらげてしまったことを申し訳無さそうに告げても、彼らは残念な顔ひとつせずに、むしろ安堵の表情を浮かべるではないか。これはいったいどういうことだろう。

結論:くさやはうまい。