Ubuntu 14.04のリリースと、Ubuntu 14.10のコードネーム決定
Ubuntu 14.04がリリースされた。そして、ようやくMark Shuttleworthが、Ubuntu 14.10のコードネームを発表した。
Mark Shuttleworth » Blog Archive » U talking to me?
[訳注: タイトルは「タクシードライバー」の名セリフが元ネタ]
[訳注: この文章はやたらとUで始まる英単語が多く使われている]
この浮上したる約束されしUbuntuは、同僚のMPTが明言したるごとく、パフォーマンスのアアトなり。ただにアアトなるのみならず、こはdeadlineを行わざるべからず。かかる最新のリリースを成し遂げ、Trusty Tahrを14.04 LTSとして固めたりし諸氏に感謝感激雨あられ。そしてこの湧き上がる歓声とリリース後の休息を経て、今こそ水門を開きて種々の改良を成し遂げ、いでいで次の晴れ舞台の準備をせん。
[訳注: Ubuntu 14.04はI/OスケジューラーをCFQからdeadlineに変えた]
LTSに向けた努力は我々をして創造性を発揮せしめる。我々のユーザーは、パフォーマンスと安定性と保守性に特化した開発の結果を喜んでいる。そして、我々としても、技術的負債を一掃するための春の大掃除がやってきたことには喜ばしいものがある。しかし、春の大掃除の目的は、新しいアイディアと新しい技術を取り入れる余地を生み出し、もって次のリリースを屋根から飛び立たせることにある。Ubuntuで創造性を発揮するにあたって、今は絶好の時期である。我々は基本原理として革新の精神を備えている。我々のコアアプリ開発部が、例えば、フォンやタブレットやPCで輝かしい業績を示したように。そして、我々は同様に素晴らしい革新的を有する。LXC 1.0は、この地球で最速、最軽量の仮想環境であり、Ubuntuで生まれ育った。LTSが発表された今、まさに次のLinuxの世代の基礎を更新すべき時だ。より速く、より軽く、よりよくスケールし、よりよく保守できるように。我々はすべてのUbuntu開発者に、先駆的開拓者たりえる有益な変更をもたらすことができる唯一の立場を得ているのだ。
未来のUbuntu開発者は、アプリのアップデートをすべてのユーザーに一瞬で提供せんことを願う。我らはその願いを実現するものなり。Ubuntu開発者はすべてのクラウドとすべてのハードウェアに対して、デプロイを華麗に発行せんことを願う。我らはその願いを実現するものなり。Ubuntu開発者はPAASとSaaSとモノのインターネットを簡単に扱うことを願うによって、いざ実現せんとす。もし、自由ソフトウェアがその真の約束を果たさんとすれば、実務に使っている人々に役立つものでなければならぬ。我々はUbuntuを、開発や運用に携わる自由ソフトウェア開発者にとって最も役立つものにすべく活動しているのだ。
愛すべき我らの地に迫る必然の荒波を察すれば、今こそ、日陰を照らすときである。Ubuntuにsystemdをもたらす時である。Python 2.xから解放される時である。高地に、すなわち上流(Upstream)に歩みを進める時である。今こそ汚れを払い落とし、無益物を切り落とす時である。このクソコードを目の前にして、今こそ協力して、非協力性より有益性を高め、意地をすてて利点を考えよ。発狂や盲信はお呼びではない。いつも通りの仕事への注意深い検証と考察をすべき時なのだ。
[訳注: Ubuntuの今後の予定では、Upstartからsystemdに移行し、Python 2からPython 3に移行する予定である。また、自前で保守している自由ソフトウェアのパッチを本家に取り込んでもらうのはいいことである]さて、最上のものを卓上に、あるいはフォーラムで、あるいはメーリングリストに置いた上で、なにか素晴らしい物を作ろうではないか。何か統一されていてすごいものを、何か世界に誇れるものを。今、我々は新規に始められる二年に一度の機会にいて、未来がどうなるかということについて制約を受けぬ野望を夢見ているのであるから、そのまま突き進んで、何か夢見がちな名前をつけよう。utopia unicornで始めよう。批評するがいい。vUDSで会おう。
いつも通り、Mark Shuttleworthの文章を訳すのは、死語となった言語を研究しているかのような難しさを覚える。
さて、Ubuntu 14.04がリリースされた。筆者の環境でのUbuntu 13.10からのアップグレードは、問題なく成功した。
まず、Linux Kernelは3.13になった。
Pythonは3.4だ。Ubuntuは、まだすべてのコードをPython 3に移行出来ていないが、いずれ移行する予定である。
gccは4.8.1から4.8.2になった。あまり代わり映えはしない。gcc-snapshotは2014年4月5日のものとなっている。
clangはclang-3.4が正式リリース版になった。どうやらlibc++も更新されたようで、-std=c++1yオプションを使っても、getsで失敗しなくなった。これにより、ローカルでC++1yを使える環境が、Ubuntuならば自前ビルドせずに構築できる。新たにスナップショット版のclang-3.5が付け加えられた。
vimは7.4.000から7.4.054になった。
さて、Unityにはいくつか変更が加えられている。まず、高DPIをサポートするためのスケール設定ができるようになった。また、メニューをウインドウごとのタイトルバーに表示できるようになった。また、Super+Wで各ウインドウを表示した時に、アプリケーション名をタイプすることでフィルターできるようになった。
そして、新しいウインドウデコレーションに変わっている。ウインドウの左右下のボーダー部分が完全になくなっていて、ウインドウ外にすこしシャドウがかかるUIになっている。黒背景のターミナルウインドウを黒背景のデスクトップの上に置くと見分けがつかない。私はあらゆるウインドウを全画面で切り替えて使うので問題はないのだが。
iBusは1.5.3から1.5.5になった。キーボードショートカットがうまく認識されない問題が解決されている。また、アプリケーションごとにIME有効無効の状態を保持できるようになった。
また、Ubuntu 14.04では、ブート、シャットダウン、サスペンドからの復帰が早くなったように感じる。特に、シャットダウンはとても早くなった。
現在、筆者が遭遇している問題は、たまにWiFiが使えなくなることだ。最も手っ取り早い解決方法は・・・再起動。ネットワーク関連のデーモンを再起動しても治らないので、ドライバーの問題だろうか。
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この記事はドワンゴ勤務中に書かれた。ところで、次のC++WG論文集の発表は6月頃なので、しばらくはC++以外の記事が多くなるだろう。
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