本の虫

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Rの興隆が科学にオープンソースをもたらす

How The Rise Of The "R" Computer Language Is Bringing Open Source To Science ⚙ Co.Labs ⚙ code + community

予算削減と科学ソフトウェアコストの上昇のおかげで、オープン科学信者は、科学界にオープンソースを持ち込むことに成功しつつある。あまり知られていない言語、Rも貢献している。

Rとは自由な、オープンソースの統計解析ソフトウェアである。MATLABのような民間に所有されている数値計算ソフトウェアや、SASのような統計ツールは、歴史的に、研究所には必要なツールであった。Microsoft Officeがオフィスに必要なように。しかし、ソフトウェアの爆発的なコスト上昇と、研究費の削減により、科学者はRを使いはじめるようになった。

現在、日々増えつつある多数の研究者がR開発コミュニティに参加し、新しいライブラリを作り、Rを統計解析から科学記事やデータをパースしてオンライン上に提供し始めている。これにより、我々が科学を行う方法を変えることができるのだ。

科学界におけるRの由来

今日、科学者はオープンソースソフトウェアを使ってデータを解析している。R言語はこの流行を支援するデファクトツールとなっている。科学業界における統計解析ツールであったことによる。

「私がRを使い始めたのは、2005年に博士課程をやっているときだった。当時は、Rはまだ見慣れぬ言語で、我々がRを統計に使っていることを知っている人すら少なかった」と、科学者のためのRパッケージを開発するrOpenSciプロジェクトのコア開発チームのメンバーであるTed Hart博士は言う。

「私の知る限り、当時の人はたいていSASを使っていた。SASは巨大な、古い、プログラミング言語で、Fortranみたいなものだ。一行づつ解析するとかそのへんの」と博士は言った。

Hartが2011年にポスドクを始めた時、研究をしていたラボはRしか使っていなかった。「Rは進化生物学者のDolph Schluterに教わった。私が院生だった頃と違い、そこの院生は皆使っていた。その部署でRを使っていないのは、私ぐらいなものだった。私はRが広がっていくのを実感した」とHart。

科学出版社、PLoSのArticle-Level Metricsのテクニカルリードを務めるMartin Fennerも同意見だ。「Rはそこらかしこで使われている。みんなRを学んで、何らかの統計に使っている」とFennerは言う。

Rの他の利点としては、金がかからないということと、SASやMATLABみたいな巨大なソフトウェアパッケージのライセンスを取得するのに必要な事務作業が必要ないということだ。

「私は政府機関で働いているが、MATLABは使えそうにない。MATLABの利用料を正当化するための長い文書を書かなければならない。そこで「君、このツールを無料で使えるんだろ。なんでMATLABを使いたいのさ?」と言われるわけだ」とHart。

新しいRのプロジェクト

HartのrOpenSciチームはRを統計解析の外に広げるための門出である。「今まさに動き始めたのだ」とHartは言う。

大海原に漕ぎだす変革は、科学データのデジタルフォーマットの必要性のためだ。Hartと開発チームは、研究者が研究を標準化されたフォーマットで共有、保存しやすいようにするパッケージ群を作った。共有可能な研究が増えるほど、科学はより発展するであろうという考えだ。これがオープン科学運動の基本原理なのだ。

NatureやScientific Data出版のような大手の科学出版社は、研究者に研究データを指定のメタデータフォーマットで提出するように要求している。他の科学組織も、科学データを様々なWeb上の標準的なフォーマットで実績ある場所に上げるよう推奨している。

rOpenSciのRパッケージは、科学コミュニティのデータ標準に合うようにデータを加工するのに役立つ。

EMLというパッケージがある。これは基本的に、Rを使えば、EMLと呼ばれるものから、適切なXMLメタデータをRから出力できるようにする。これはEcological Metadata Languageの略で、Matt JonesとNational Center for Ecological Analysis and Synthesis at the UC Santa Barbaraの人間によって開発されたものだ。」とHartは言った。

rOpenSciプロジェクトは、rOpenGovのようなRベンチャーの立ち上げのきっかけにもなった。rOpenSci開発チームが公共ソースのデータをいじりはじめたところ、米国政府の公開情報へのアクセスと社会科学問題に注力するための、新しいプロジェクトの立ち上げにつながったのだ。rOpenGovプロジェクトは、Sunlight Foundationの提供するAPIを活用している。

rOpenHealthグループは、rOpenSciのrpubmedパッケージを管理している。これは、アメリカ国立衛生研究所のPubMedデータベースにアクセスするためのものだ。このプロジェクトは、公共の健康とヘルスケア業界の研究データにアクセスしやすくすることを目的としている。

ネイティブWebアプリケーション用のR

Web上のある大量のオープンデータは、Rの興隆のおかげだとHartは指摘する。「大勢の人が、多くのパッケージを書いて、Web上のデータを、XMLとかJSONのようなフォーマットに変換している」とHartは言う。

Hartはカリフォルニア大学のDuncan Temple Langと、RStudioの科学者長を務めるHadley Wickhamの名を挙げた。Wickhamは、rOpenSciがWebからデータを落としてくるのに使う、httrパッケージを開発した。

その他の大きなR貢献者としては、マギル大学のRamnath Vaidyanathanがいる。rCharts, rMaps - Interactive Maps from R, Slidifyを開発した。

「rChartsは、データをJavaScriptでWeb上に上げることのできるパッケージだ。rMapsは似たようなものだがLeaflet.jsのようなオープンマッピングフォーマットを使い、JavaScriptによるマッピング視覚化やライブラリを提供する。つまり、データをRでとってきて、これらのネイティブなフォーマットに変換してくれるので、JavaScriptを習得する必要はないわけだ」とhartは言う。

VaidyanathanのSlidifyは、GitHubやDropboxやRPubsで共有されているR Markdownをスライドプレゼンにしてくれる。Markdownとは、プレインテキストをWebで読めるようにするためのマークアップ言語のことだ。

「[Markdown]はとても興味深い。というのも、コードと、何らかの定義の間の境界は、とても曖昧だからだ。どれもひとつのドキュメントになってしまう。Pythonの連中も似たようなことをしている」とFennerは言う。

「たとえば、私はPLoS生物記事を数カ月前に、記事の例として書いた。データが5つほどあるだけ。データは全部Rで処理されていて、記事の中にRコードが含まれている。これを実行したら結果が得られる。結果のデータが得られる」とFennerは言う。

さらに、rOpenSciチームはオンライングラフツールのplotlyと協力している。「我々はplotlyのWeb用のRインターフェースを開発している。これも、RのデータをWebでプロットする方法の一つとなる」

APIによるデータの簡単な取得

オープンアクセス科学出版社のPLoSは最近、記事のテキストとメタデータを検索するためのpublic APIを公開した。関心を持ったR開発者が、このAPIを使い、有益なアプリケーションで研究コミュニティにおける論文の影響力を解析してくれることを願っている。

「腰を落ち着けて、何百万件もの記事を様々な方法で解析したいのであれば、Rはおそらくいい選択だろう。特に、腰を落ち着けるのが夕方で、プログラミングのために数週間を費やしたくない場合は」とFenner。

FennerがPLoS APIを使うときは、何百もの数値が並ぶ結果を出力するより、Rを使って視覚化を行う方を好む。「Rは視覚化のために使っている。私は統計解析には興味がないんだ」とFennerは言った。

「RはAPIから簡単にデータを引っ張ってきて、適切なフォーマットにするために揉んでくれるので、とてもよい」とFennerは付け加えた。

RをAPIに使う強みは、パッケージの豊富さにある。たとえ、他の言語が、専用のライブラリなしに行えたとしてもだ。「Rubyの方が、RよりWebネイティブ系の言語なので、APIを扱うのは、多少やりやすくはあるのだが、Rも使える」とHartは言う。

「つまり、Rが使えるのは、労力を費やしてパッケージを書いているからだ。例えば、httrパッケージがAPIからデータを取得するのを簡単にしているように」とHartは付け加えた。

アカデミアから飛び出すこと

rOpenSciは、生物学データを扱うパッケージを作ることに注力しているが、開発チームは他の分野にも進出しようとしている。「私らは生態学全般を扱う学者みたいなものだからね。それが専門なんだ。だから他の分野に進出しようとしているわけさ」とHartが言った。Sloan財団はrOpenSciに、様々なカンファレンスや大学で宣伝する許可を与えた。

「生物情報科学コミュニティには多くの派閥がある。[Bioconductor]はRのための生物情報科学のための巨大なアドオン集みたいなものだ。これも、アカデミックな研究と民間業界の接点のひとつだろう」と、HartはRの生物科学における広がりを挙げた。

HartはRovolution Analyticsという会社名を挙げた。これはRをビジネス用のデータ解析用に販売している会社だ。「ほら、いわゆるビッグデータとかデータアナリティクスとかデータサイエンスとかいう言葉を使いたくない連中もいるだろ。その手のことが流行したため、Rはビジネス界でさらに浮き上がるだろう。それは、すでに機械学習や統計アルゴリズム用のパッケージが豊富に用意されているという理由からさ」とHartは言った。

未来のR

さらに多くの種類のデータや、さらに多くのWebフレンドリーなフォーマットを出力できるようにパッケージを整えることが、R開発の推進力になる。

「Webネイティブなプロジェクトの境界を押し破るのが見てみたいね。より能力のある開発者を惹きつけるに連れ、パッケージ開発もさらに一般的になるだろう」とHart。

科学研究の検索可能性を上げるのは、始まりに過ぎない。「これが成果を発揮し始めるまで、あと僅かに数年程度だ。これから多くのことが起こるぞ」とFenner。

Hartはより強固なドキュメントや多数のパッケージを保守する必要性を感じている、「科学業界について歯に衣着せずいわせてもらえば、生態学研究に使われているアルゴリズムのいくつかは、やっつけ仕事だ」とHart。

「より注目を集めるにつれ、特に、ビジネス業界で注目を集めるにつれ、より多くの、本物のプログラマーをひきつけるだろう。ほら、Rはコミュニティからひょっこりでてきたものだろ。多くのパッケージは科学者によって書かれていて、科学者はプログラマーではない。私は他のことにフルタイムの時間をとられていて、プログラミングは余暇にやっているんだよ」とHart。

その日まで、Hartと残りのrOpenSciチームは、言語を科学界に普及させる予定だ。月末にhackathonをホストして、RStudioの科学長のような一流のR開発者を招待するのだ。

言語の浮沈にかかわらず、Rの科学サークルにおける立場は強固たるものだ。コミュニティは支援的だ。「Rを使うスレッショルドはとても低い。Rは最高に簡単な言語というわけではないが、すべてが無料で提供されている。質問できるコミュニティがある。利用にあたって障害はない」とFenner。

この翻訳では、文脈から判断して、freeを無料と訳した。彼ら、オープンソース(笑)の連中は自由の価値を理解していないようだ。

Rというプログラミング言語は、研究者の間では広く使われている。

筆者の見解では、Rは統計解析とか、データをグラフ化するなどの、特定の分野には優れているが、汎用のプログラミング言語としては、あまりいいものではない。なぜそのような言語が、汎用に使われているのか。

結局、研究者はプログラマーではないし、プログラマーではないものが、とりあえず動くソフトウェアを書くとなると、ライブラリが充実していて、難しいことを考えずに書ける、COBOLとかVBとかHSPとかJavaのような言語になるのだろう。ないよりマシだろうか。

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この記事はC++とは関係がないがドワンゴ勤務中に書かれた。ドワンゴ社内でRが使われているかどうか、筆者は知らない。

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