本の虫

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ドワンゴの女子マネという過酷な訓練

ドワンゴ現在、ドワンゴでは「女子マネ弁当」という企画が復活している。

過去の女子マネ弁当の様子については、すでに社外にも相当の情報が出回っているので、例えば以下のような情報を参考にしてもらいたい。

【第1回】ドワンゴ大改革の鍵は、インフラと女子マネージャー。|川上量生の胸のうち|川上量生|cakes(ケイクス) ドワンゴ「助けて! エンジニアが朝出社しないの!」→ 女子マネージャーが弁当を手渡してくれる「女子マネ弁当」システム導入で生活習慣改善へ - ねとらぼ

今回は、その女子マネ弁当の実情に迫る、社内からのレポートをお届けする。

女子マネ弁当の概要とは以下の通りである。

さて、その実態はどうか。

謎だ。なぜこんなクソな企画が平然と行われているのか。なぜエンジニアは不満の声を挙げないのか。なぜこんな肥溜めのようなクソに耐えているのか。

どうやら、ドワンゴのエンジニアにとっては、無料の食事はとてつもないほど魅力的らしい。そのために、このようなクソの嵐にも耐えているようだ。

曰く、「無料の食事は素晴らしい」、曰く、「運動不足だけどきっかけがないと運動できない。皆で一斉に行うラジオ体操があれば参加したい」、曰く、「どうせ朝出てこないので関係ない」

しかし、筆者は未だに、エンジニアから、「女子マネは必要だ」という意見を聞いたことがない。体操の見本展示は、体操のプロが行うべきであって、単に若い女であるからという理由だけで集められたド素人に任せる仕事ではない。男女雇用機会均等法の観点からも怪しい。エンジニアが女子マネに反対しない理由は、女子マネ企画に付随する副産物が素晴らしいのであって、女子マネはエンジニアからは望まれていないのだ。

いったいこれは何なのだ。ムチとアメを両方与えているようなものだ。そのアメがあまりにも甘美なために、あえてムチに耐えているだけだ。

だいたい、この上から与えられる娯楽というのは、まったくエンジニアの精神にそぐわない。もし、本物のエンジニアが娯楽が欲しいと思ったら、自分で娯楽を作り出すべきなのだ。上から与えられる娯楽を享受しているだけでは、本物のエンジニアたりえない。

しかし、ここで筆者はあることに気がついた。女子マネが存在しても、別に開発効率は落ちていない様子である。

考えてみれば、午前10時というのは、ドワンゴ感覚で言えば、社外ならば午前5時頃に匹敵する早朝だ。そんな時間に出勤できるエンジニアはまれである。ドワンゴでは、朝といえば午後1時か2時、昼といえば、午後5時か6時ごろなのだ。もし、ドワンゴ社員が、午前10時に社内にいたということは、彼は昨日の夜から社内にいたと考えるべきである。

さらに、筆者がC++WG論文をレビューする速度も、女子マネが始まってから上がっている。なぜならば、リフレが混雑して昼ボドゲができないために、論文を読む時間が増えるのだ。

そうか。そうだったのか。女子マネという一件クソな企画は、エンジニアの効率を上げるための企画だったのだ。エンジニアに規律をもたらす企画だったのだ。

なるほど、それで合点が行くことがたくさんある。いままで、ドワンゴ社内で、なぜこんなにクソなのか理解に苦しむ部分が、多数あったのだ。

たとえば、ドワンゴ社員に支給される作業用のPCは、基本的に、メモリをたったの8GBしか積んでいないクソみたいなスペックのラップトップ一台である。このラップトップは非力すぎて、いまどき仮想環境を一個立ち上げるのにも不満を感じるほどである。これは、そのような非力なコンピューター上でも快適に動作するソフトウェアは、他の環境でも快適に動作するだろうという訓練の一環だったのだ。

支給されるディスプレイは、FULL HDですらない低解像度のディスプレイで、粗悪なパネルを使っていると見えて視野角が非常に狭く、画面全体が小便でガラスを作ったのかと思われるほど黄色い色合いのクソみたいなディスプレイである。いまどき、IPSパネルのディスプレイなど安いはずであるが、あえてこのような尿パネルのディスプレイを使っているのは、画面全体を適当に眺めるのではなく、一字一字、顔面を肉薄させて、しっかりと確認をさせるための訓練であろう。

社内ではEXCEL方眼紙が飛び交っている。これは、エンジニアに一般ピーポーの感覚を植え付けるためであろう。

社内システムのうち、建て替え経費精算システムは、不自由なWindows上で動作する32bit版IE6/7/8でしか動作しない。その理由は、ブラウザーから直接印刷をするために忌まわしきActiveXを使っているからだ。もちろん、そんな超古代の化石のような環境を手元で用意できるわけがない。そのため、リモートデスクトップ接続できる、大昔のIEが動く環境を特別に用意して、建て替え経費精算システムを使う際には、その環境にログインして、そこから行うようになっている。これは、不正な経費申請を防ぐために、わざと使いづらくしているのであろう。

社内には汚らしいニコチン中毒者のために、ガラス張りの大きな喫煙所が設置されている。これは、動物園で檻の中に入ったサルを見学するのと同じものに違いない。麻薬は人をダメにする反面教師としてである。

昔の社屋にはあった昼寝部屋は、今の歌舞伎座タワーに移転してからはなくなった。いまでは、身長160cmの筆者ですらはみ出してしまう、極めて寝心地の悪い狭いソファーがたったの3個、置いてあるだけである。広い喫煙所に比べて、なんと貧相なことか。これは、昼寝ばかりしていないで仕事をしろということだろう。

机も狭くなった。昔は120cmぐらいの奥行きがあり、広さは足元にPCケースが2,3台はおけるほどであり、しかもL字型であったと聞いているが、いまではそっけない机がひとつあるだけだ。これも、空間を効率良く使えという訓練のためだろう。

規律と、貧弱な環境に耐えて作業をさせたいのならば、なぜ裁量労働制を採用しているのか。なぜ昼寝をしている人間を叱らないのか。その理由は、上からの押し付けでは人は変わらないためである。自らその価値に気づかねばならない。徐々にその価値に気づかせる措置が、この一見クソに見える現状なのだろう。

この女子マネ弁当に隠された真の意図に気がついた筆者は、今日は大真面目にラジオ体操を行った。みずから皆の前に立ち、ラジオ体操の見本展示を行った。これから毎日、積極的にラジオ体操に参加することとしよう。

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この記事はドワンゴ勤務中に書かれた。

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