本の虫

著者:江添亮
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渋ハウスと立ちション禁止とタバコ禁止

22日に渋ハウスでパーティがあったので、行ってきた。

渋ハウスというのは、一軒家に30人以上住んでいるシェアハウスだ。いや「住んでいる」というのは間違いかも知れない。渋ハウスに正式に金を出している人間が30人以上いるだけで、毎日寝泊まりしている人はそれほどいないはずだ。それから、「シェアハウス」というのも違う気がする。人が集まれる場と言ったほうが正確だろうか。

とても大勢の多種多様な人間が集まってパーティをしていた。

残念ながら、私と話題が合う人は少なかった。

渋ハウスは、以外に綺麗なところだった。こんなに大人数を読んでパーティをするところなのに、なぜ綺麗なのだろうか。その謎は、トイレに入った時に解決した。

トイレには張り紙があり、曰く、「立ちション禁止」

なんと、立ちション禁止とな。立ちション禁止とはうーむ。立ちション禁止・・・

立ちション禁止。それは男としての尊厳の否定にほかならない。およそ、男を男たらしめ、立ちションの可否である。この近代的な男女平等の世の中でも、男が先天的に女より優れているのは、両性における泌尿器の先端器官の違いである。むろん、女でも、小便器の形状を工夫すれば、あるいは立ちションも可能かも知れないが、男に比べて極めて非効率的であると言わざるを得ない。男は立ちションが容易な効率的な体をしているために、男用の便所が混むことはまれである。立ちション、これこそ男と女を分かつものだ。

しかし、渋ハウスでは立ちションが禁止とあっては仕方がないので、ズボンをおろして便座に座って用を足した。

しかし、立ちションの禁止だけでは、トイレ以外の場所は汚れるはずだ。一体、渋ハウスはどうやってこの綺麗さを維持しているのだろうか。なんと、それはタバコが禁止であるがためだ。そうだ。渋ハウスではタバコが禁止なのだ。実に素晴らしいことだ。この点は妖怪ハウスも見習って欲しいところだが、残念ながら妖怪ハウスはまだその域に達していない。まあ、吉田寮よりはマシであると言えるか。

しかし、タバコ禁止と立ちション禁止を天秤にかけると・・・いや、タバコは絶対悪である。もし、タバコと立ちションを天秤にかけると、片方は地面にめり込み、もう片方は脱出速度に達するであろう(はたして地球の重力を使って地球の重力を振りきれるのかという疑問はさておき、たとえ非科学的にせよ、それぐらいの差だということだ)

渋ハウスはとてもいいところであった。住む場所ではないが、遊びに行く場所としては素晴らしい。それに場所も、名にし負う渋谷の駅から近く便利だ。夜中に都内中心部にいて、終電で野方に間に合わない場合に、ああいう場所にも住んでいると便利だ。渋ハウスに金を入れてみることも考えたい。

さて、シェアハウスかどうかは疑問だが、またひとつシェアハウスめぐりをした。次はどこへ行こうか。しかし、開放的なシェアハウスはあといくつ残っているのか。