本の虫

著者:江添亮
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自然淘汰と年収と出生数と未来

出生数の減少が止まらない。ここ10年ほどは年2万人は減っている。あるいは、前年比2%ほど減少しているということもできる。2018年から2019年は特に落ち込んでいて前年比5%も減っている。そしてコロナ禍により更に出生数は下がると予想されている。すでに2021年の1-3月の出生数は前年比9%減だという。このままの減少率が続くと2021年の出生数は実に4年分に匹敵する減少になる。

新型コロナ: 少子化、コロナで加速 20年度の出生数4.7%減: 日本経済新聞

このまま出生数が下がると、毎年新たに供給される日本人の労働者人口が激減していく。現在市場に供給される若い労働者というのは、20年以上前に前に生まれた人間だ。今から20年前の出生数は108万人、今の出生数は87万人だ。

出生数が毎年2万人も減っていく世の中では、2040年には出生数が50万人を下回り、2060年に出生数が10万人を下回ることになる。

コロナウイルスが少子化を加速させるならば、実際にはもっと早く出生数50万人や10万人に到達するかもしれない。

日本の労働者市場では学士号を得たその年の求職者を新卒(しんそつ)と称し、ありがたがる傾向がある。ところで大学進学率は約54%、卒業率は90%である。今年出生した人間が新卒となる22年後の新卒数は40万人。出生数が毎年2万人づつ減っていくのであれば、新卒数は毎年0.9万人づつ減っていく。新卒一括採用が今後も続く場合、40年後の新卒様は20万人になっている。60年後は数万人しかいないだろう。売り手市場どころではない。新卒様は数年に一度入社してくださるかもしれない伝説級の存在になっているだろう。その前に大学制度や新卒一括採用が根本的に破綻するだろうが。

年2万人という等差で減るのではなく、年2%という等比で減少する場合、出生数減少はもう少しゆるやかになる。2050年に50万人を下回り、2130年に10万人を下回る。

しかし果たして本当に等比で減っているのだろうか。等比で減るのであれば第3次ベビーブームが発生していたはずだ。思うに、日本社会が許容できる出生数の上限があり、それが年2万人づつ減っているのではないか。

では何が日本社会が許容できる出生数を決めているのか。日本国政府が出生数を抑える政策をしているという話は聞いていない。逆に日本国政府は出生数を上げようとしているが、これは失敗している。結局出生は自由市場に任されている。

思うに、今の日本人が年齢とともにたどる社会的身分と、生物的な繁殖適齢期が一致していないのが原因だろう。

人間の繁殖適齢期は10代後半から始まる。30代はリスクのある高齢出産、40代での出産は極めてリスクが高い高齢出産だ。しかも出産にかかる母体の負荷は経産婦かどうかで異なる。30を超えて初産の場合はリスクが高い。

一方、現代の日本人の年齢別の社会的地位を考えると、20代のうちはまだ出産育児に十分な収入を得られていない。

ここで昔ならば30歳以上の収入ある男が10代の女とつがいになることにより繁殖が行われていたが、現代の日本の価値観ではそのようなマッチングはまれになっている。

結婚が出生に紐付いているのがボトルネックになっているので、おそらく将来は結婚という仕組み自体を妊娠出産育児から切り離さなければならないだろう。